卒業シーズンということで、なんとなくさくら学院の卒業ソングを聴いています。
さくら学院は毎年、その年度の集大成として学年末である3月にアルバムを発表していますが、そのなかに卒業ソングとして位置づけられる曲も含まれていて、2014年度まではシングルとしても発売されています。
「My Graguation Toss」は2013年2月27日にさくら学院の6枚目のシングルとして発売されていて、さくら学院の卒業ソングとしては「旅立ちの日に」(シングル発売は2012年2月)に続いて2曲目にあたります。
卒業ソングとしては異色なロックナンバー
さくら学院にとっての最初の卒業ソングである「旅立ちの日に」が実際に多くの学校の卒業式で歌われている卒業ソングのカバーであるのに対し、「My Graduation Toss」が2曲目の卒業ソングに選ばれたのは、開校からはじめての卒業、二度目の転入(厳密にゆいもあを転入として数えれば三度目)と一連のサイクルを定着させたさくら学院としては、けっこうな「攻め」だったのではないでしょうか。
もっとも、湿っぽい雰囲気が苦手なすぅちゃんが明るい曲調を希望していたということですが、疾走感のある速めのテンポでありながら、ところどころマイナー調のフレーズが入っていて、ふと哀しさ・寂しさが垣間見えるような演出が施されているように思います。
MVでは、軽音部の部室らしき部屋や、教室ではメンバーが思い思いにはしゃぐ様子を見せていますが、一方、椅子が整然と並べられた体育館では、フォーメーションや振付で動きがコントロールされていて、照明もステージ風です。普段の教室内と卒業式としての体育館内、女の子のにぎやかさとセレモニー感といったようにコントラストがつけられています。
やっぱり三人の「絆」を思わざるをえない……
卒業ソングだけあって、「My Graduation Toss」のMVには送る側である在校生のメンバーがカメラ目線で手を振るカットがあります(まりりちゃんはこの年度で卒業でしたが手を振る側にいます)。
この送る側のメンバーの最後にゆいもあのツーショットが配置されているのはやはりBABYMETALとしての絆を思わずにはいられません。
心なしか、特に校内のカットにおいて、もあちゃんの表情がすぐれないように見えるのは気のせいでしょうか。
そして、他のメンバーが手を振るカットを受けての卒業生すぅちゃんは、逆光のなかでただ座ってこちらを見ています。カメラがゆっくりとズームアウトして部屋のなかのすぅちゃんが「ひとり」であることを意識づけるかのようですが、何よりもその表情が笑顔ではないのがとても印象的です。
あくまで印象ですが、明るい曲を希望したわりには、MVではすぅちゃんの笑顔が少なめにも思えます。特に、いちばん最後のカットでは笑顔ではあるけれど、すぅちゃんらしい、顔がくしゃくしゃになるような笑顔ではなく、なんとも寂しさを隠せないような笑顔に見えます。
けれど、それも魅力のひとつなのではないかと思います。明るいけれど卒業、速いテンポだけど哀しさもある。こういうアンビバレントなところがこの曲(MV)の魅力なのではないでしょうか。
もあちゃん、見てますねー。