中元すず香のダンスの激しさ

たまたまこの動画を観ていたのですが、そのなかですぅちゃんが「最初はダンスが嫌いで…」と発言していたのがビックリでした(すぅちゃんの発言は7分30秒あたりから)。

ダンスの激しさでいえば、BABYMETALだけでなく、さくら学院のなかでも一、二を争えるすぅちゃんですが、小学校三年生でアクターズスクール広島に入るまでは、体が硬いからダンスが嫌いだったのだそうです。

もっとも、いざダンスを始めてみたら楽しくて好きになった、と言っていますから、この「嫌い」は食わず嫌いだったんでしょうね。

BABYMETALの振り付けを担当しているMIKIKOMETALは雑誌「ヘドバン」のインタビューのなかでSU-METALのダンスを、

  • 一般的にはカウントで覚えるが、SU-METALはカウントよりも音で覚える
  • 音がかかると120%で踊る
  • 本能、感覚で踊っている

と評しています。

天然でポンコツ、ひたむきで一心不乱

長い髪を振り乱して踊るすぅちゃんの姿にはじめて目がとまったのは、さくら学院の学院祭で披露されたダンス部の「もってけ!セーラーふく」だったでしょうか。また、「ベリシュビッッ」のMV、もっとさかのぼれば可憐Girl’sの「Over the Future」のMVでも同じように一所懸命に踊る姿が確認できます。

由結ちゃんの完成度の高いダンスとはまた違って、ひたむきに、一心不乱に踊るすぅちゃんのダンスに胸を打たれるものがあります。

「本能で」「120%で」踊ってしまうすぅちゃんですが、一方では、さくら学院のレッスンに体操服をもってきた、靴を左右逆に履いていた、デロリアン発言、自転車に乗れない、といった「天然」あるいは「ポンコツ」ぶりでも知られています。

「天然(天然ボケ)」は、ウィキペディアでは「周囲からややズレた発言や行動を自然に行い、結果、笑いを誘ってしまう変わり者のことを指す場合が多い」(Wikipedia「天然ボケ」)とされています。

体操服をもってきたことも、コンパクトディスクの「ディスク」を「デロリアン」だと答えたことも、周りから笑われることによって恥ずかしい思いはしたでしょう。

しかし、もってきた体操服でおそらくすぅちゃんは普段と変わらずレッスンをこなしたのではないでしょうか。体操服にとらわれることなくレッスンに集中する姿を容易に想像することができると思います。(そして、そういったひたむきさはすぅちゃんが周りから愛される理由のひとつともいえるでしょう。)

レッスン着を用意していざスタジオについて着替えようとしたら、何をどう間違えたのかそこにあったのは体操服だった。おそらく、レッスン着を準備する段階で、頭のなかがリアル学校モードになってしまっていた、というのが間違いの原因だったと思うのですが、そうすると、目の前の「レッスン着の準備」と、その後におこなわれる「さくら学院のレッスン」がつながっていない、ということがいえるかと思います。

あるいは、さくら学院のアルバム『さくら学院 2010年度 〜message〜』のジャケット撮影に際して、好きなものをもってくるように言われたすぅちゃんは「お好み焼きのヘラ」を持参するわけですが、ここでは、他のメンバーが自分の個性を象徴するようなもの(メンバーによってはかわいいグッズだったりする)、あるいはアイドルとして見映えのいいものをもってくるだろうという想像、その想像に即して、それなら自分も……といったような「周囲の思惑」と「自分の思惑」がつながっていない、といえるでしょうか。

つまり、自分が行動することと、他人が自分を見てどう思うかを気にすることがつながっていない(ことが多い)。そして、この「つながっていない」ことが、すぅちゃんの「本能」「120%」「一心不乱のひたむきさ」を引き出しているのではないでしょうか。

ふと、疑問に思うことがあります。

あまりに激しく踊るすぅちゃんに「他のメンバーとあわせる気はないのだろうか」と。

でも、それはナンセンスでしょう。もし、出る杭が打たれていたなら、ひたむきにレッスンに取り組む姿が愛されることはなかったでしょうし、いまや孤高の道を突き進むBABYMETALが孤高たりうる個性を獲得することもなかったかもしれません。

さて、こちらはすぅちゃんの自己紹介の動画ですが、体が硬かったなんてとても思えません。もし本当に体が硬かったのなら、ダンスが好きになってから相当の努力をされたのではないでしょうか。